ブリーフセラピーのエッセンス その3

今回は短期療法・家族療法の「問題」の捉え方、円環的認識論のお話をしたいと思います。

 

この考え方はこれまでの私たちの認識とはちょっと違うので、理解してもらうのが難しいのですが、
家族の中で、仕事の上で、友人関係の中で、困りごとが起きた時にきっと役に立ちますので、
頭のすみっこに置いといてくださいね。
なるべくやさしくシンプルに解説していきますね。

 

例えば学校で、いつもトラブルばかり起こしている生徒がいるとします。
クラスメイトは何とかしてほしいと先生に訴えます。

 

あなたが先生なら、どう考えますか?

 

「彼がいつもトラブルを起こすのは、何が原因だろう。」

「彼はいつもちょっとしたことですぐに怒りだす。家庭に問題があるのだろうか・・・。」

 

けれど先生は彼に指導しなくてはいけません。

 

「トラブルの原因はなんだ?なぜいつもイライラしてる?みんなの気持ちを考えてみろ。」

 

そうすると彼は「先生はわかってくれない。イライラするのはあいつらのせいなのに。
家でも学校でも怒られてばかりで誰も信用できない・・・。」
学校や家族への不満はつのり、ちょっとしたことでまたトラブルを起こしてしまう・・・。

 

先生はまた考えます。「彼はなぜ、人のせいにばかりするのだろう。
被害的な考え方を変えるにはどう指導したらいいのだろう・・・」

 

このように私たちは問題が起きた時、その原因を知ろうとすることが多いですね。

 

「ある結果Aの原因はBである」この考え方を「直線的因果律」と言います。

医療等ではこの考え方で対処しますが、人間関係のトラブルは原因を探しても解決しないことが多く、
有効ではないのです。

 

一方、短期療法では、問題(生徒同士のトラブル)に対してとった対処行動(先生の指導)が
また別の問題(先生への不信・不満)を生み、生徒同士のトラブルや先生・親への反抗を繰り返す・・・。

 

このように問題はコミュニケーションの相互作用によって起きていると考えます。

 

これを「円環的認識論」と言います。

 

 

先生は問題を解決しようとして行動するのですが、その対処行動が、増々問題を持続させているのです。

これを「偽解決の悪循環」と言います。対人関係のトラブルはこれが多いように思います。

 

短期療法では原因探し・悪者探しはしません。誰も悪くないと考えます。

「悪循環が生じているだけ」ここが理解できれば、問題はシンプルになりますね。

 

ではどうすればいいのでしょうか。

 

まずは本人から情報収集し悪循環になっている「システム」を見つけます。

そして悪循環をどこかで断ち切るか、良循環を見つけ出して、変化へ導いていきます。

 

ではこの「彼」にはどう対処すればいいのでしょうか。

子供の「問題行動」には良循環で対応していく方がうまくいくことが多いです。

まずは彼の話を充分に聞き、学校や生活の中でイライラしないでうまくやっている瞬間(良循環)
がないか情報収集していきます。

 

もしあるならそれはどんな時なのか、何をしている時なのか、

なぜうまくやれているのかを彼と共有し気づいてもらいます。

 

「なぜうまくやれているのか」の原因は追究しますが、「問題」の原因は追究しません。
彼に問題が起きるのは「相互作用」なのです。

 

「あなたには問題はない」

これが短期療法・家族療法のスタンス。

私はここがとても気に入っています。

 

人はコミュニケーションによって悪循環も良循環も作れるのです。

 

問題の「彼」との良循環を作る為には、彼も気づいていないような良い面(輝く側面)を
見つけ出すことがはじめの第一歩。

そして、その方が、解決への近道なのです。

 

問題と思われる行動は、いったん置いといていいのです。

 

それを続けていくことで、いつの間にか問題行動のない「良循環」に変化していきます。
私はその瞬間を目の前でたくさん見てきました。

カウンセリングでは、この良循環を探すための道案内をいたします。

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